南海トラフの巨大地震 奈良県の被害想定は 防災対策

奈良県議会議員・永田ゆづる(36歳)|奈良市・山添村選出|です。

南海トラフ巨大地震の被害想定見直し~全国・奈良県・隣接県の現状と今後の課題

 国は、南海トラフ巨大地震の被害想定を、これまでの取り組みや最新の地形データを反映して全面的に見直しました。今回の見直しでは、津波の浸水域が全体で約30%拡大しており、最悪の場合の死者数は約29万8000人になる可能性があると試算されています。特に、冬の深夜に地震が発生した場合、津波により21万5000人もの方が被害に遭う恐れがあるため、国民一人ひとりにとって大変重い現実となっております。

 また、今回初めて試算された「災害関連死」につきましては、避難生活中に体調を崩して命を落とすケースが最悪の場合5万2000人に達する可能性が示されました。これは、東日本大震災の直接的な死者数を大きく上回る数字であり、避難所の環境改善や迅速な支援がいかに重要であるかを改めて教えてくれるものです。

【全国の被害想定とその背景】

 政府の地震調査委員会は、今後30年以内にマグニチュード8から9クラスの巨大地震が発生する確率を約80%と見積もっております。今回の見直しでは、神奈川県から鹿児島県にかけて震度6弱以上の揺れが広範囲で発生し、静岡県から宮崎県までは震度7に達する可能性も示されました。また、津波は福島県から沖縄県にかけて3メートル以上、関東から九州の一部地域では10メートル以上、さらには高知県や静岡県では局地的に30メートルを超える場合もあるとされています。これに伴い、建物の全壊・焼失件数や経済的損失も非常に大きなものになると考えられ、国全体で迅速な対策が求められております。

【奈良県の状況と地域の連携について】

 私たち奈良県におきましては、今回の新たな被害想定により、最大で震度6強の揺れが予想され、冬の深夜に地震が発生した場合、最悪のシナリオでは死者数が約1600人にのぼるとされています。前回の想定からは約100人の減少にとどまっており、耐震化などの取り組みは進んでいるものの、依然として厳しい現実があることを示しています。また、けが人の数は前回より約1000人増加し、約1万9000人になる可能性もあるため、万全の備えが必要です。

 さらに、隣接する和歌山県や三重県などでは、海に面した地域が津波の影響を受けやすく、最大で20メートル以上に達する津波が予想されるため、停電や断水などライフラインの被害が広範囲に及ぶ恐れがあります。このため、万が一隣県で甚大な被害が発生した場合、各自治体がまず自県の復旧に追われ、全国からの応援が十分に届かない可能性が懸念されております。

【今後の対策と国民へのお願い】

 今回の被害想定の見直しは、私たち一人ひとりに「自らの命は自ら守る」意識を促すものです。国や自治体はもちろん、防災に関わる各機関が、早期の避難行動や耐震化の徹底、迅速な救援体制の構築などを進めることが急務です。特に、避難所の環境整備や、医療・福祉体制の充実は、災害関連死を防ぐ上で重要な対策となります。

 奈良県では、2025年度から有識者を交えた防災の委員会で地震被害想定を改めて検討し直し、2026年度までに県独自の被害想定と対策プランを策定する予定です。これにより、和歌山県や三重県といった隣接地域との連携を強化し、被災時に互いに支え合える体制の構築を目指しております。

 日頃から、各家庭においても備蓄の見直しや家具の固定、家族間での連絡方法の確認など、個々でできる防災対策を進めていただくことが大切です。国全体での連携と、地域ごとの実情に合わせた対策の充実により、万が一の際の被害を少しでも軽減することができると信じております。
 
 今回の被害想定見直しは、遠い未来の話ではなく、私たちの日常に迫る大きな課題でございます。全国、そして奈良県だけでなく、和歌山県や三重県など隣接地域も含め、皆様が一丸となって防災対策を進めることが、将来の安全・安心を守るための鍵となります。どうか、一人ひとりが備えと連携の大切さを再認識し、今後の対策にご協力いただけますようお願い申し上げます。

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