奈良県 行政代執行工事で多額の費用が時効迎える
奈良県議会議員・永田ゆづる(35歳)|奈良市・山辺郡選出|です。
先日の奈良県議会の予算委員会では、生駒市西松ヶ丘の行政代執行費用が時効を迎えたことについて質問しました。
これまでの経緯などについてまとめました。
1. 事件の経緯と背景
- **平成22年の無許可造成**
奈良市の不動産業者が、生駒市西松ヶ丘の住宅地に無許可で盛り土を行った。県の許可を得ずに盛り土を造成し、その後、台風や大雨による影響で一部が崩壊。
- **行政代執行の実施**
業者は県からの是正指導を無視し、連絡も取れなくなったため、奈良県は業者に代わって平成30年3月に行政代執行を実施。盛り土の崩壊を防ぐための対策工事に1億3,559万円を投じた。
- **債権回収の試みと失敗**
工事終了後、奈良県は業者に対して工事代金の請求を試みたが、業者からの応答は一切なく、2024年8月23日に時効を迎え、債権回収が不可能となった。これにより、約1億3,000万円の工事費用が県の税金で賄われることになった。
#### 2. 県の対応と問題点
- **遅れた初期対応**
住民からの通報にもかかわらず、違法な盛り土の早期発見ができなかったことが、問題の発端となった。違法行為の発見が遅れたことは、その後の業者の逃亡や連絡の不通に影響を与え、対応がさらに遅れた。
- **業者の捕捉と指導の難しさ**
不動産業者との連絡が途絶え、財産調査も実行されたが、業者の所在が把握できず、債権回収に至らなかった点は、県としても大きな教訓となる。また、こうした状況での行政代執行は、そもそも債権回収が困難であることを前提として行われるため、今回のような事態が起こりやすい構造にある。
- **時効迎えた債権の回収断念**
時効が迫る中、県は費用回収に取り組んできたが、多額の債権が回収できずに終わったことについて、担当部門から「遺憾に思う」とのコメントが出されている。これは、今後同様の問題が発生しないようにするための対策が急務であることを浮き彫りにしている。
3. 教訓と今後の対策
- **違法工事の早期発見の必要性**
無許可での土地造成や違法な盛り土は、発見が遅れることで被害が拡大するリスクが高い。今回の事例では、初期対応の遅れが大きな問題となったため、今後は住民からの通報に迅速に対応し、違法行為の早期発見と指導を徹底する必要がある。
- **職員間での情報共有の重要性**
担当職員の異動や業務引き継ぎが行われる中で、こうした事案に関する情報共有が不十分であった可能性が指摘される。各土木事務所間での情報共有の仕組みを強化し、過去の事例を教訓として、同様の問題が再発しないようにする体制づくりが求められる。
- **行政代執行の慎重な判断**
行政代執行の性質上、費用の回収が困難である場合が多いため、今回のケースは住民の生活上一刻も早い対策は必要な事案ではあるが、一般論としては代執行を行うかどうかのもともとはその判断は慎重に行うべきである。また、代執行が行われた場合でも、県民の税金が無駄に使われないよう、効果的な債権回収手段を検討することが重要。
- **無許可工事に対する早期指導体制の強化**
今後は、無許可で土地を造成するなどの違法工事に対する早期の発見と指導を強化するため、監視体制を見直し、定期的なチェックや罰則の強化など、抑止力を高める方策が必要である。県土マネジメント部だけでなく、各部門が連携して対応する仕組みを構築することが求められる。
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まとめ
今回の生駒市での違法盛り土に関する問題は、初期対応の遅れや業者の対応不備が重なり、最終的には県の税金が使われる形で決着を迎えた。しかし、この事例を教訓とし、違法行為の早期発見や債権回収の強化、職員間での情報共有を徹底することで、今後同様の問題が発生しないように努めることが重要である。私も県議会の一員として、再発防止に向けてその役割を果たしていきたい。
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